【保存版】股関節の前方つまり感の原因と改善方法を徹底解説

股関節を曲げたときに、前方が「つまる」ような違和感を感じたことはありませんか?


特に大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI:Femoroacetabular Impingement)をはじめとする股関節周辺のトラブルでは、屈曲動作で前方に痛みやつまり感を訴えるケースが少なくありません。


しかもこの症状は、日常生活での動作に支障をきたすだけでなく、スポーツパフォーマンスにも大きな影響を与えます。


本記事では、前方つまり感の代表的な原因をわかりやすく解説するとともに、ご自宅でできるセルフケアから専門的なアプローチまで、改善方法を体系的にまとめました。


ぜひ最後までお読みいただき、つらい違和感の根本解決にお役立てください。

前方つまり感の原因

1. 骨盤・腰椎域の後方制限

  • 脊柱起立筋・腰背筋膜のtightness
    • これらが硬くなると骨盤が前傾しやすくなり、腰椎の後弯が減少。
      股関節屈曲時に骨盤が十分に後傾できず、「前方がつまる」感じを生む。
  • 寛骨後傾可動性低下(仙結節靱帯・仙棘靱帯のtightness)
    • 影響:仙腸関節可動性が不十分になることで、寛骨後傾が制限され、股関節屈曲時につまり感が起こりやすくなる。

2. 大殿筋・中殿筋・深層外旋筋群のtightness

  • 大殿筋のtightness
    • 大腿骨頭~大転子後方を覆う大殿筋が硬くなると、骨頭後方のスペースが狭まり、屈曲時に骨頭前方偏位を生じやすい。
  • 中殿筋(後部線維)のtightness
    • 中殿筋は大転子に付着するが、骨頭の後方も覆うため、硬くなると屈曲時に骨頭前方偏位を生じやすくなる。
  • 深層外旋筋群(梨状筋含む)のtightness
    • 梨状筋、上・下双子筋、大腿方形筋、外閉鎖筋、内閉鎖筋は全て、骨頭や大転子の後方すべりを阻害する・
      そのため、屈曲+内旋でさらに圧迫が強まり、「つまる」感覚が顕著に。

3. 前方・上外方偏位による構造的要因

  • 骨頭前方位・上外方偏位
    • 影響:大腿骨頭が前上方に位置すると、屈曲で臼蓋とのクリアランスが狭まり、早期にインピンジ(衝突)を起こしやすくなる。
  • 大腿筋膜張筋tightness
    • 影響:腸脛靱帯を介して骨頭を前上方に引き上げる力が強く働き、偏位を助長。屈曲でさらに「つまる」感覚が増す。

4. 関節内インピンジメント

  • 腸腰筋インピンジメント
    • 影響:腸腰筋腱が大腿骨小転子部〜骨盤前面で関節唇や骨縁に挟まることで、前方つまり感や痛みを生じる。

前方つまり感の改善方法

セルフエクササイズ

・腰背筋膜のストレッチ:大殿筋+広背筋ストレッチ

・外旋筋群のストレッチ:足を前後に開いて、前足は外旋位で前屈

膝を立てて足を乗せる大殿筋ストレッチ、外旋位で内転する中殿筋ストレッチ

手を後ろに着いて股関節内旋ストレッチ

徒手療法

・iliocapsularisのリリース:関節包に連続性のある腸骨筋やiliocapsularisのリリースでインピンジメントが改善する可能性

・腸腰筋の収縮:iliocapsularisは下前腸骨棘の内下方に起始し、関節包に連続性を持つ。この筋の収縮によって関節包を引っ張り出し、関節包のインピンジメントが改善される可能性

・大腿直筋下のリリース:iliocapsuralis外側の大腿直筋は脂肪体を介して関節包に付着する

・腰方形筋、多裂筋、腸肋筋リリース

・大腿筋膜張筋のリリース:骨頭外上方偏位の改善

・広背筋リリース

各項目の評価方法

・骨盤後傾可動性:PLFテスト、PMテスト

・PMテスト:膝を立てた背臥位で腸骨稜最頂部とASISの距離を触診して確認し、股関節を他動的に屈曲する。開始肢位から腸骨稜最頂部とASISの距離が1/2以下になれば陰性。基本的には左右差で比較。

・外旋筋群のtightness:FADIR、FADER、腹臥位でHip内旋

・骨頭アライメント:背臥位で大腿骨頭を触診し、前方偏位を確認。大転子を触診し、上方偏位を触診。

・肩屈曲ROM

まとめ

本記事では、股関節屈曲時の「前方つまり感」について、以下4つの視点から原因と改善法を解説しました。

  1. 骨盤・腰椎域の後方制限
  2. 大殿筋・中殿筋後部・深層外旋筋群のtightness
  3. 前方・上外方偏位など構造的要因
  4. 関節内インピンジメント

それぞれの原因に対して、

  • ご自宅で実践できるセルフエクササイズ(ストレッチ・筋膜リリース)
  • 専門家による徒手療法(関節モビライゼーション・筋スパズム解除)
  • 精度の高い評価法(可動域測定・骨頭アライメントチェック・インピンジテスト)

を組み合わせることで、安全かつ効果的に症状の緩和が期待できます。

免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療を保証するものではありません。症状が強い・長引く場合や不安がある場合は、必ず整形外科や理学療法士などの専門医療機関にご相談ください。

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