アキレス腱断裂術後のリハビリテーションの流れを、テニス選手を例として紹介します。
競技復帰までのトレーニングも掲載しているので、治療家の方や実際にアキレス腱断裂を経験したことがある方にも参考にしてもらえると嬉しいです。
あくまで考え方の一つとして捉えてもらい、実際には個人に合わせたリハビリテーションの過程が必要と考えています。
疫学
アキレス腱断裂は、基本的に30-50歳代の中高年に多いことが知られていますが、実は絶対数で見ると20代でも多いことが分かっています。
スポーツ別に見ると、テニス,バドミントンなどのラケット競技や,バスケ,バレー,サッカー,野球などの球技に多いことが知られています。
受傷場面/競技復帰時期
基本的にアキレス腱断裂は、急激な伸長や収縮によってアキレス腱にストレスが加わって生じるようです。
高い競技復帰率が報告されていますが、競技復帰できない選手もいるようです。
トレーナーとしては受傷前/それ以上のレベルで安全に復帰させることが求められますね。
バスケットボールだとNBAで活躍しているケビンデュラント選手も受傷経験があるようです。
貴重な受傷シーンがYoutubeに挙がっているので、「ケビン・デュラント アキレス腱断裂」で調べてみて下さい。
危険因子
年齢が上がると、腱の退行性変性が生じることで腱断裂のリスクが上昇するようです。
また、ステロイドは抗炎症薬として知られ、痛みを抑える働きがあります。
微細損傷があった場合にも痛みが抑えられるので、断裂リスクを高める可能性があると言われています。
選手情報
具体的に症例を出した方が想像がつきやすいと思ったので、提示します。
アキレス腱縫合術について
アスリートで用いられる方法として、Triple Bundle法が挙げられるようです。
執刀医の医師や患者の状態に合わせて手術の方法が決められます。
テニスの競技特性
アスリートのリハビリテーションでは、その競技を知ることが重要です。
ルールやフィールド、用具などによって、必要な身体能力や求められる動作が異なるためです。
求められる動作は?
考えられるだけで、これだけの動きが必要になります。
リハビリテーションの過程で、このような動作を獲得するための段階的なトレーニングが必要となることがわかります。
術後早期のリハビリテーション
図左下のような装具を着用し、踵を持ち挙げることで縫合部に加わる伸長ストレスを低下させます。
徐々に踵のパッドを抜いていき、可動域訓練や筋力トレーニングを開始していきます。
この時期に過度にトレーニングをやりすぎると、腱延長(elongation)が生じる場合があるので、特に可動域訓練については伸長に進める必要があります。
メディカルリハビリテーションにおけるリスク管理
アキレス腱断裂術後は、再断裂に注意する必要があります。
特にバランスを崩して無意識に脚をついたとき(つま先で踏ん張った時、後方に脚を踏み出した時)に再断裂してしまう可能性があるため、注意が必要です。
選手の経過(術後13週)
この時期になると、日常生活動作では特に問題がなく、筋力も回復傾向にある時期だと思います。
しかしまだ完全には回復していないため、積極的なトレーニングが必要な時期になります。
次の記事では、訓練後期~復帰期のトレーシングについて解説します。
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