腰部脊柱管狭窄症は、加齢や椎間板変性によって脊柱管や椎間孔が狭窄し、神経根や馬尾神経が圧迫されることで発症します。
特に『間欠性跛行』と呼ばれる、数分歩行すると臀部や下肢にしびれ・疼痛が現れ、前屈位で休むと改善する症状が典型的です。
一般的には腰椎伸展(腰を反らせる)動作によって椎間孔が狭窄し、神経を圧迫することで症状が発生すると言われています。
本記事では、歩行時痛(歩行誘発性疼痛)を改善するための評価ポイントと治療アプローチを詳しく解説します。
評価 腰椎伸展
・疼痛
腰椎伸展時に症状が発生するかを確認します。
・立位アライメント
矢状面上においては、腰椎伸展アライメントの有無をチェックします。
⇒頭部前方位、胸椎後弯、腰椎伸展、骨盤前傾または後傾、スウェイバックなど
⇒腰椎が過度に伸展位にあると、椎間孔が狭まりやすい。
・臥位アライメント
⇒患側における寛骨前傾、仙骨
⇒仙骨が水平面上で健側に回旋していると、患側は寛骨前傾、健側は寛骨後傾に誘導されます。
・可動性
股関節伸展、腰椎屈曲、胸椎伸展
評価 トレンデレンブルグ徴候
・疼痛
体幹側屈や、ヒップロックによって疼痛が出現するか確認します。
ヒップロックによって、患側の椎間孔が狭窄することで症状が発生する場合があります。
・歩容
トレンデレンブルグ徴候の有無
・立位アライメント
骨盤挙上、体幹側屈
・可動性
健側への側屈
・仙骨傾斜
治療
前額面上の動作改善
・中殿筋ex
・腹斜筋ex
・ヒップロックex
①腰に手を当てて、骨盤を左右に上下
②右手を上に挙げて、右足で立つ。左股関節屈曲位からヒップロック
⇒「手をなるべく高く上げるように」
・水平面上の回旋に対するアプローチ
⇒仙骨が前額面上で健側に傾斜していると、下位腰椎では椎間孔の狭窄が生じます。
矢状面上の動作改善
・前額面上の傾斜に対するアプローチ
⇒患側の梨状筋ストレッチ、仙腸関節mobilization(尾骨と仙骨上面を皮膚を介して把持し、患側の椎間孔を広げる方向に前額面上での傾斜を誘導。特に患側への傾斜を促す)
・骨盤後傾ex
⇒腰椎屈曲可動性の改善と、腹筋群の筋機能改善を図ります。
①座位骨盤後傾
②背臥位骨盤後傾(pelvic tilt)
③cat & dog
④pelvic tilt + Hip lift
・腸腰筋ストレッチ
⇒片膝立ちで骨盤を前方に移動する。腰椎伸展を助長しないよう、骨盤後傾を保持する。
①片膝立ち
CKC-ex
・立位で壁プランク
・壁プランク+足踏み
・立位で壁を足ー臀部ー頭をつける
⇒骨盤後傾
まとめ
以上の評価とエクササイズを継続することで、腰椎伸展による神経圧迫を緩和し、骨盤・体幹のアライメントと連動性を改善できるため、歩行時のしびれや痛みが軽減され、日常生活での歩行機能向上が期待できます。
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