スクワットや歩行・ランニング中に膝が内側に入ってしまう(ニーイン)という動作は、膝関節や股関節のケガにつながりやすい問題です。
特に理学療法やスポーツリハビリの現場では「knee-in toe-out(ニーイン・トーアウト)」と呼ばれ、前十字靭帯損傷・膝蓋骨亜脱臼・腸脛靭帯炎などとの関連が指摘されています。
ニーインの原因として語られることが多いのは股関節外転・外旋筋力の低下ですが、今回は見落とされがちな足関節からのアプローチについて解説します。
足関節からの影響
CKCでの背屈時、距腿関節中間位での背屈ができない症例がいます。
背屈可動域を距骨外旋によって代償することで獲得している場合があるので、足関節に対する背屈可動域を改善するためのアプローチが重要です。
ランニングでは30°の背屈が必要とも言われているため、非常に重要な観点です。
荷重位の背屈に必要な要素
・MTP関節伸展
・リスフラン関節背屈
・ショパール関節(舟状骨、内側楔状骨)外反
・距骨下関節(踵骨)外旋、外反
・距骨内旋
・脛骨内旋
・遠位脛腓関節:腓骨外方偏位、後上方移動
・近位脛腓関節:腓骨前上方移動
正常な内側縦アーチの低下が必要です。
評価
〇距骨外旋の評価
・背屈時の距骨アライメント:触診
・腹臥位で膝屈曲位から背屈⇒toe-outあるかどうか
・Thigh foot angle:10°が正常
・下腿内外旋中間位:脛骨粗面の位置で確認
・背屈位での距骨内旋ー外旋可動性
・背屈可動域:OKCとCKC
⇒CKCで特に前方つまり感が出やすい場合、CKCでのアライメント不良が存在する可能性
⇒前内側で詰まる場合、距骨の過度な内旋が生じている可能性がある。これは、距骨下関節の外旋が出ないために
・アライメント:リスフラン、ショパールの外転
治療
・屈筋支帯周囲のリリース:距骨下関節外反可動性↑
・距骨下関節外旋、外反:側臥位で距骨内旋ー踵骨外旋の間の可動性を出す
・背屈に伴い腓骨を上方に押し込む、近位脛腓関節のモビライゼーション
・距骨後方へのモビライゼーション:距骨内旋誘導もしながら後方に滑る
⇒背屈時に距骨後方滑りが阻害されていて、外旋代償が起きている可能性
・長母指屈筋のストレッチ
⇒距骨後方滑りを最も阻害しやすい
・小趾外転筋の柔軟性改善
⇒リスフラン、ショパールの外転が起きているとtoe-outを誘発する可能性
・リスフラン、ショパール関節の内転方向へのモビライゼーション
・ショパール関節外反モビライゼーション:両手で足部を把持し、足関節背屈+外反から尾側方向へ牽引する
・後脛骨筋ex
⇒舟状骨を介して距骨を内旋方向に誘導する
・距骨前脂肪体へのアプローチ:皮膚の滑走性改善:徒手的にリリース⇒TA腱、EDL腱、EHL腱全て、TAの収縮+内旋ー外旋、CKCで背屈+TA,足趾伸展
⇒前方組織の滑走性低下によるつまり感を改善
・下腿内旋可動性改善:腸脛靭帯、長腓骨筋、短腓骨筋、鷲足部、腓腹筋内側頭のリリース
・木製バランスボード:前足部は拇趾球を浮かさずに、後足部のみ回外
・スプリットスクワット
・片脚スクワット:ストレッチポールを膝の内側において実施、チューブ抵抗を膝の内側から、外側から
ニーインと足関節の関係|なぜ足首から見るのか
knee-in(膝の内側入り)は股関節の問題として捉えられることが多いですが、足関節の背屈制限がある場合、その代償として距骨が外旋し、toe-out(つま先が外を向く)が生じ、結果的にknee-inを引き起こすことがあります。
この足関節→膝→股関節の連鎖を理解することが、ニーイン改善の臨床的な近道になります。
チェックリスト|足関節アプローチが有効なケース
以下に当てはまる場合、足関節からの介入が有効である可能性が高いです。
- CKCで背屈可動域が不十分(ランニング動作に必要な30°に届かない)
- 荷重時にtoe-outが出る(腹臥位での背屈でも外旋代償あり)
- 前内側でのつまり感がある(距骨の過剰内旋を疑う)
- 片脚スクワット時にニーインが明確に出る
まとめ
- ニーイン(knee-in)は股関節だけでなく足関節からも生じる
- 足関節背屈制限→距骨外旋代償→toe-outの流れがニーインを誘発する
- 評価はCKCとOKCの背屈可動域・距骨アライメントの確認から始める
- 治療は徒手アプローチ(モビライゼーション・リリース)→運動療法の順で進める
- 後脛骨筋強化・片脚スクワットなど統合的な運動療法が最終ゴール
この観点をリハビリ評価に加えることで、従来の股関節アプローチだけでは改善しなかったニーインのケースに対応できる可能性が広がります。


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